家族葬とは、家族を中心に、故人と近しい人だけで執り行う葬儀のこと。規模や参列人数に決まりはありませんが、30名以下の小規模な家族葬が多いです。
参列人数が少ないぶん、弔問客の対応に追われず、静かに故人を弔えるのが特徴。新型コロナウィルスや参列者の高齢化などの理由から、近年家族葬を選ぶ人が増えています。
家族葬の参列者の範囲に、明確な定義はありません。参列者をどこまで呼ぶかは故人や遺族の意向次第です。家族や親類に限定せず、故人と親しかった友人・知人を招く家族葬もあり、数名~30名程度までと幅があります。
ただ実際には、2親等以内の参列者のみで行われている家族葬が多いようです。2親等以内とは、直系の家族や近親者、正確には故人の両親と子どもの家族、祖父母や孫、兄弟までにあたります。
関係の近しい親族を呼ばなくても問題ありませんが、葬儀後のトラブルを防ぐために、特別な事情がない限り呼んでおくのが無難でしょう。
家族葬の平均参列人数は22.3人。一般葬の平均参列者数は73.5人なので、3分の1以下の人数だとわかります。
基本的には、遺族から「参列してほしい」と案内されない限り、家族葬には参列しません。遺族から「家族葬を行う」と連絡を受けた場合は、お通夜・葬儀ともに参列しない方がよいと考えるのが無難です。
そもそも家族葬とは、会社関係者や知人など、一般参列する人をお断りするもの。家族葬が終わったあと、遺族と顔をあわせた際にお悔みの言葉をかけた方が、相手にとって負担にならないでしょう。
ただ、訃報の知らせに「参列不要(遠慮する・お断りする)」と明記されていないと、判断に迷いますよね。もしわからない場合は、お通夜・葬儀に参列できるか遺族に確認すると、確実な判断ができます。
家族葬では、そもそも訃報の連絡がないケースも少なくありません。「訃報を伝えることで、参列するか相手を迷わせるのが申し訳ない」と考えた遺族が、気を遣わせないためにあえて訃報連絡をしないことも。
人づてに訃報を知っても、余計な詮索や無理な参列は控えましょう。
家族葬の訃報のお知らせに「葬儀場や日にちの情報が一切ない」場合も、参列しません。
もし故人にどうしてもお焼香をあげたいなら、葬儀・告別式のあとで、遺族に「弔問したい」と連絡するのがベターです。
家族葬では、参列だけでなく、香典も辞退されるケースがあります。
参列者から香典を受け取ると、遺族はあとで香典返しを送らなければなりません。また親しい身内だけで葬儀を行うこともあり、「仰々しいやりとりをしたくない」と香典辞退を選択する遺族が多いです。
ただ、遺族から「香典を辞退する」と申し出がない場合は、念のため香典を持参しておくと間違いがありません。葬儀場に行って、遺族の「香典辞退」の意向を確認できたら取り下げましょう。香典を辞退されたのであれば、持参していても無理に渡さないのがマナーです。
香典の額は、故人との関係性によって変わります。身内のため香典は出さないケースもあるため、金額の相場やマナーを今一度確認しておきましょう。
家族葬に参列するときは、準喪服もしくは略喪服を着用します。身内だけの葬儀ですが、一般葬と服装は同じです。
男性は光沢のない黒のスーツ、女性は光沢のない黒のワンピースやアンサンブルを着るのが一般的。カジュアルな服装や派手な装いはマナー違反です。また女性は、腕や肩、胸などの露出の多い服装は避け、ストッキングを履きましょう。
くわえて、服装だけでなく、身だしなみにも注意すること。派手なメイク、髪型、アクセサリーなどは、葬儀の場にふさわしくありません。控えめで清潔感のある身だしなみを意識してください。
家族葬は参列者の人数が少ないため、受付が設けられていない可能性があります。
葬儀会場に行って受付が見当たらなければ、遺族に直接声をかけてOK。遺族は忙しいので、「お悔み申し上げます」「この度はご愁傷さまです」と短い言葉でお悔みを述べましょう。ただ、一般的な葬儀と同様、死を連想させる忌み言葉は使わないよう気を付けてください。また香典を渡す場合は、遺族に手渡しして問題ありません。
一般葬と同様に、家族葬でも焼香は行いますが、宗派・宗旨によって作法が異なります。故人の宗派に合わせることが一番だとされているため、確認しておきましょう。焼香は喪主から順番に行いますが、やり方がわからない場合は前の人に習うとよいですよ。
遺族から「参列辞退」の連絡があった場合の家族葬のマナーを紹介します。
葬儀前後の遺族は、家族を亡くしたばかりで非常にデリケートな状態です。また葬儀の準備や対応で多忙なため、迷惑をかけないよう配慮しましょう。
家族葬に参列しないなら、せめてお香典だけでも…と思う参列者もいるかもしれません。
ただ香典を送ると、遺族側は香典返しや返礼品の用意が必要。逆に気を遣わせてしまうので、香典を勝手に郵送したり、ムリに渡したりするのはやめましょう。
どうしても香典や弔電を送りたいときは、遺族の了承を得てから郵送してください。
家族葬の後日、遺族の自宅に弔問に伺うのであれば、事前に確認をとりましょう。
葬儀が終わってからも、遺族は相続や遺品整理、手続きなどで忙しいです。突然訪問すると対応も大変ですし、遺族の都合にあわせて訪問してください。また弔問は手短にして、遺族に負担をかけないようにしましょう。
家族葬では、参列者だけでなく、遺族も葬儀のマナーに迷いがち。
ここでは、家族葬をするにあたって知っておきたい遺族向けのマナーを紹介します。
先述したとおり、家族葬では参列者をどこまで呼ぶか、明確な決まりはありません。実際に、お声がけする範囲がわからず、判断に悩む遺族の方は多いです。
よくあるのは、2親等以内に限定して30名以下に参列者をおさえる家族葬、ただ故人が最後に会いたいと思うであろう人であれば、血縁関係のない方も呼んで問題ありません。
家族葬の参列者を選定するときは、後々トラブルにならないよう配慮するのが重要。参列の案内をしない方にも納得していただけるよう、家族葬を選んだ理由をきちんと伝えましょう。また、呼ぶか迷う方がいるのであれば、参列していただいた方が無難です。
家族葬の訃報は、家族葬を執り行った旨を添えて、葬儀のあとに送るのがベター。事前に訃報をお知らせしてしまうと、家族葬だと伝えていても葬儀にかけつける方がいらっしゃるかもしれません。
事前に訃報をお知らせするなら、家族葬を行うため、参列や香典は不要だと明記しておきましょう。参列・香典辞退の旨を明確にしておけば、相手側は参加するかどうか迷いませんし、遺族側は予定外の参列者を避けられます。
訃報を後に聞いた人から弔問したいという連絡がきたら、できるだけ気持ちに応えるようにしてください。「来月にしてほしい」「仏壇がまだないので四十九日を過ぎた後に来てほしい」など、具体的な弔問の日程を伝えるのがベター。また、もし香典やお供えをもらったら、きちんと香典返しや返礼品を用意しましょう。
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